「夏養生」のお話
夏は、立夏から始まって、小満、芒種、夏至、小暑、大暑を経て立秋までの三ケ月をいいます。
夏は春に生まれたものたちが、すくすくと生長する季節。陽の気が一年で一番強くなり、人間の新陳代謝も活発になります。それに合わせ、熱をどんどん発散させるよう、暑さに負けずに活動することが大切です。(ムリのない程度)
漢方では、夏に熱をうまく発散させないと熱が体にこもり動悸や不眠を引き起こす原因となり、秋にはせきが出やすく、冬には体調を崩しがちになると考えられています。
夏は暑さがトラブルを起こす一番の原因になります。暑さは水分とともにエネルギーも体の外へ出してしまいます。エネルギー不足となった体は夏バテを起こしたり、夏風邪を引きやすくなったりします。
暑さから起こるトラブルを防ぐには水分補給と栄養補給を心がけることが大切です。衣類は吸湿性の良いものを選び、外出の時は日傘や帽子を利用するなど直射日光や紫外線を避けて過ごしましょう。
また、日本の夏は蒸し暑く暑さとともに湿気も体調を崩す大きな要因となります。湿度が高いと汗がでにくくなり、体に水分が溜まり様々な不調が出てきます。
・何となく体が重だるいと感じる
・疲れやすい
・関節や腰が痛む
・下半身がむくむ
余分な湿気は、五臓の「脾」の働きを衰えさせ、消化吸収の働きを悪くなることで腸がゴロゴロする、おなかが張る、食欲不振といった症状があらわれます。
湿気を防ぐために風通しよくしたり、汗をかいた衣類は早めに取り換え洗濯したものはよく乾かしましょう。
【夏の養生法】
■水分補給はこまめに、早めに
のどが渇いたと感じた時には、すでに体の水分が不足している状態です。一気に大量の水分をとると、うまく吸収されず夏に衰えがちな胃腸によけい負担をかけてしまいます。一日のうちに何回か、のどが渇いてなくても飲み物を口にするタイミングを作り、水分不足になる前に補給することを心がけましょう。※ただし、食事中水を飲むのは控えます。消化液が薄まり消化吸収の働きが弱まるからです。
■水分と一緒に塩分も補給
水分補給には水やお茶を飲むのが基本です。汗をかくと水分と一緒に塩分も失われる為、水やお茶だけではなく塩分をとることも必要です。塩分の含まれているスポーツドリンクも◎
■冷たいものをとり過ぎない
夏には食欲が落ち、冷たい飲み物や食べ物をとってしまいがちです。冷たいものの摂り過ぎは胃を冷やし、働きを妨げます。胃腸の悪い方は特に注意が必要です。
■冷房対策をする
夏の暑さや湿気を避けるためには冷房を上手に使うことも大切ですが、夏は適度に汗をかいて熱を体外に発散させることも必要です。また、冷房で体を冷やし過ぎると夏風邪や、消化器系のトラブルを引き起こしたり、血行が悪くなり疲れが取れにくくなることで秋冬の体調にまで影響を与えます。外出先などで自分で冷房の温度調整ができないところでは、上着等で調整し、特に首、腰、足首は冷やさないようにしましょう。
■夏野菜を食べる
トマトやきゅうり、なす、スイカなど。夏が旬の野菜や果物の多くは、体の熱やほてりを冷ます働きがあります。さらに水分代謝を助け、余分な水分を体外に出す働きもあわせもっているものがほとんどです。
■栄養と休養でエネルギーを補う
夏は汗が出るのと同時にエネルギーもたくさん消耗します。水分とともに栄養や休養をしっかりとることを心がけましょう。食事は弱った胃腸に負担をかけずに消化のよいものを。
休養では、睡眠が大切ですが、夏の夜は短く蒸し暑いので十分な睡眠がとれない時は15~20分程の昼寝をして補いましょう。
【夏に摂りたい食材】
■すいか、メロン、とうがん、ゴーヤ、きゅうりなど
利尿作用があり、体に余分な水分がたまり、むくんでいる時に効果的です。
体にこもった熱も冷まし、のどや口の渇きも抑えてくれます。
■生姜、しそ、長ねぎ、みょうが、わさびなど
体内の湿気をとり夏の冷えに効果的です。
消化を助けます。冷たい料理に薬味として活用しましょう。
■梅干し、夏みかん、酢など
酸っぱいものには収れん作用があり、汗が出るのを抑えてくれます。
■とうもろこし、じゃがいも、かぼちゃ、枝豆、とうふなど
夏バテの食欲不振には、消化吸収をよくするために「脾」を助ける食材をとりましょう。
この夏、元気に楽しく過ごせるよう
夏養生にてお過ごしください。
夏メニューもお役立て頂けましたら幸いです。
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